「平均点」をウロウロしている中学生にも、
・学習方法が分かっている中学生と
・学習方法が分かっていない中学生、
の2パターンがいます。
今回は、「学習方法」は分かっている中学生向けのお話です。
- 学習塾に通っているけど
- 以前は成績が良かったけれど、
近ごろ成績が低迷している。そんな中学生が成績が上がる秘訣をお話しします。
この秘訣は大事ですから、ときどき読み直してください。
それではいきます。
自分の理想を思い描く
一番大切なことは、子どもに「成りたい自分」を思い描かせること。
理想の状態を思い描かせることです。
あなたの理想はなんですか?
- 成績上位者になって、どんな気分を味わいたいですか?
- 良い成績をとると、いったい何が変わるでしょう?
- 成績をあげて、どんな高校に入りたいですか?
- 成績をあげて、将来どんな生活を送れると思いますか?
- 将来どんな仕事をしたいですか?お金持ちになりたいのか?
中学生のこどもたちにとっては、成りたい自分を思い描くことが大事なのです。
この思い描くという事はとっても大切です。
とある有名な脳医学者は、
「人間の脳は、現実に起きたことと強く思い描いた事との区別がつかない」
と言っています。
強く願って、頭の中になりたい自分を思い描くと、
人間の脳は、思い描いた姿が、自分自身の自然な姿だと思い込みます。
すると、思い込んだとおりに、振る舞いも、思考回路も、自然に適合していくのです。
カラダも脳も、自然に思っている状態が実現する方向に、自分自身を舵取りをしてくれるのです。
ここで勘違いするお母さんや中学生がいるのですが、
「思い描いただけでそれが現実になる」
そんなことはありません。
願えば叶うとかいう都合の良い話ではないのです。
中学生のみんなは、新しい能力を身につけるわけですから、
レベルアップする為には、繰り返し、繰り返し練習をしなくてはいけないのです。
初めて自転車に乗ったときと同じように、何度も何度も転んだりして練習しないといけません。
自転車に乗る練習をするときでも、自転車を乗りこなしている自分の姿を
イメージしているのと、イメージしていないのでは
同じ練習をしても結果は全く違います。
たとえば自転車の場合には、街中でも、テレビでもスキー場に行けば、滑ってる人がたくさんいますから、滑れるイメージを簡単に思い描けると思います。
勉強でも同じことで、実際に勉強のスキルを身につけ、実現できている人を間近にみて、触れることで、子どもの中にも強烈にイメージが残ります。
- 身近に接することができる家庭教師の先生をつけたり、
- 勉強ができる友達と一緒に勉強させたり、
- 子供の学力にあっている学習塾に通わせたり(勉強するぞ!と意識的に塾に来ている子と勉強できる)
そんな環境づくりが必要なのです。
勉強ができる人、学習方法を熟知している人の近くにいることで、
学習の効率が変わってくるという話はよく聞きます。なんとなくイメージが湧きますよね?
さらに言うと、理想の状態を思い描くことができていれば、思い描いた状態ではない自分のことを、人間の脳は「不快」だと感じるのですから、
その不快な状況を何とか脱却しようとして、あの手この手で、努力しようとしますし、我武者羅になってもがいているとしても苦になりません。
しかし、現状の状態が「心地よい」と脳が思うと、
現状から抜けようと思うことはほとんどありません。
今の状態が心地よくて、何ら問題ないのだから、学習環境を子供のためにせっかく作ってあげたとしても、子どもには学ぶことに突き進む理由がないのだから、たいてい途中で挫折してしまいます。
だって、今のままで何も問題がないのですから。
こどもは、自分の理想の状態を思い描くことで、何とかやる気を出そうとか、モチベーションを上げようとか、思わなくても、自然に「さあ、やるぞ」ということで、前進するパワーを出すことができます。
たとえば学習目標でも同じです。
偏差値は「70」が自分にとって普通だと思っていれば、
偏差値が「65」でもめちゃめちゃがんばります。
試験の点数は「100点」で当然と思っていれば、
点数が「90点」でも、シャカリキになって勉強することでしょう。
しかし、一般的には偏差値が「65」であったり、点数が「90点」であれば、そこそこいい線行っている、というような雰囲気になります。
だから、「あーおれって、賢いじゃん」
なんて思ってしまうと、子どもはそれ以上がんばることがないのです。
こどもに理想の状態を思い描かせることは、
こどもの中に眠っているターボエンジンを始動させるようなものなのです。
分からなくてもやる
初めてのことをするとき、
初めの分野の学習をするとき、
「分からない」「知らない」
不知のことでいっぱいです。
誰しもとても混乱するでしょう。中学生のこどもであれば尚更です。
分からない、、と混乱している子供をみていると心配になることでしょう。
でも、その混乱はとても良いことです。
脳が混乱している状態は、学習している状態なのですから。
分からない、知らない。
子どもがそのように思えているということは、子どもが勉強している証拠。
自分が出来ない、ということを子ども自身で把握できているのですから。大したものです。
※一番怖いのは、自分が出来ていない、ということにすら気づけていないお子さんです。
たいていは俺って勉強できている。と勘違いしているときです。
大切なのは、混乱したままでも、前に進むこと。
分からなくても、知らなくても、とにかくやってみること。
大切に育てられたお子さんや、
性格がきっちりしている真面目で真っ直ぐなお子さんは、
何でも計画立てて、計画通りにやろうとします。
教えてもらったことを教えてもらったようにやろうとするのです。
1つ1つステップバイステップで
進んでいこうとして、知らないことに手を付けようとはしないですし、分からないことは腹落ちするまでやってみようとはしないのです。
しかしこれでは、こどもの学習速度をとても遅くします。
分からなくても良いので、とりあえず手を付けてみて、どんどん進んでみる、
練習問題を解くうえでも、学習動画を見るうえでも、分からない事があっても次へ次へと進ませてください。
1つの単元や、特定事項や特定の問が分からない場合あっても、
分かるまで次に進まないということではなく、分からないモノを調べることに延々と時間をかけるのではなく、とにかく次の単元に進ませてください。
ズンズンと進んでいくなかで、最初は分からなくたって、だんだんと全体像が見えてくるのです。
こどもたちは全体像が分かってくるとと、個別個別の分野のことも分かるようになり、今まで意味が分からなかった事でも理解が進むようになります。
それに、単純に受け身的に「読む、聞く」だけしていては、分からないことがたくさんあります。
実際に「やってみる」。実践の経験を通じてでないと理解できないことはたくんさんあるのです。
だから、分からなくても、とにかくやってみる。
分からなくても進んでいく。
この行動姿勢が非常に大切になります。
子どもたちに伝えたいことは、
分からないこと、知らないことがあることは、まるっきり恥ずかしくはないことです。
失敗したって大丈夫。決して恥ずべきことではありません。
むしろ、行動を起こしたことと、そのチャレンジ精神が賞賛されるものです。
どんな学習レベルにある人もみんな、失敗することから始まっています。
起業して大成功している社長さんも、
成功に至るまではなんども失敗や挫折を経験しています。
欧州でプレーするサッカー選手だって、失敗を繰り返しています。
失敗は、成功するためには必要なこと。
恥ずかしいことは、失敗することにビクビクして、何もしないことです。
行動しない言い訳を、自分に対してくり返し続ける人生を送ることです。
出来る人から学ぶ
「できる人のマネは、できるようになるための唯一の手段です」
何かを学習する時には、成功例が身近にあると、イメージしやすいですよね。
人間の脳は、成功例から多くのことを学ぶことができるのです。
基礎となる知識や骨格をしっかりと学習したうえで、
それから具体的な問題に取り掛かかったり、自分にあった学習法はなにかな?いい教材はどれかな?という手順を踏むと、やることがもの凄くたくさん出てきます。
でも、できる人の話を聞いて、勉強方法を教えてもらって、思考回路をマネすると、
効率的かつ効果的に、スーッと物事を吸収して、自分のものとすることができます。
中学生の勉強において、成功例とは何でしょうか?
- 勉強ができた先輩のはなし
- 中学生の学習に熟知している先生のはなし
- 読んでみたらよかったという、評判が良い本や問題集
- 通ったら実力が付いたという学習塾
- 使ってみたらよかった、という学習教材
これらが成功例だと言えるのです。
勉強ができる人は、たくさんの成功例を集めています。
それを実際に試してみて、自分にとって取り入れることができる部分、できない部分を取捨選択しているのです。
そして成功例どおりに、自分も忠実にやってみて、自分も成功していくのですね。
できる人、できた人のマネをしたほうが簡単だし、効果的だからです。
成功例をたくさん集めることほど、中学生の勉強にとって重要なことはありません。
自分自身で、成功例を集めることができる中学生のこどもさんは、いないと考えたほうがよいでしょう。
成功例を集めてあげるのは、やはり親の役割だと思います。
学習環境づくりは親の責務なのですね。
多くの量をこなす
何か新しい能力を身に着けるときに、一番大切なことは、
難しいことを考えすぎずに、ひたすらやること。
もっとも大切なことは、何をやるか?どうやるか?ということにこだわりすぎずに、たくさんの量をこなすことです。
知り合いから先日、オモシロい話を聞いたので紹介します・・
ある陶芸教室でのはなしです。
その陶芸教室の先生は、初心者に教えるときに、初心者の生徒を2つに分類しました。
ただひたすらに、沢山の器を作ることを課題にしたグループ(量産グループ)と、
いいもの器を一つ作ることを課題としたグループ(質グループ)
この2つにグループ分けしたのです。
量産グループは幾つの器を作ったか?を測定します。
質グループは、器は1つだけ作成すればいいけれど、それはいいものか?を先生が判断します。
いったいどちらのグループが、良い器をたくさん作ったのか?ということですが、
普通に考えれば、質グループが良い器を量産しそうなところですが、
実際には、量産グループの生徒さんたちが、先生からみて良いと思われる器を量産していた。
沢山作った人たちのほうが、質においても良いものを作っていた・・・
そんなお話です。
新しい能力を身につけるときには、
とにかくやってみる。量をこなすこと。
そういう姿勢が重要です。
はじめから出来るヒトなんていませんから、
人の目を気にしたり、自分に言い訳なんてしないで、とにかくやること。
これがポイントです。
繰り返し、反復練習すること
「すべての能力は、反復練習によること。繰り返しは学習の基本です。
何度も何度も、同じことを繰り返し繰り返し行うのです。
「一度できた」
「そうか、分かった」
そこで手を止めてはいけません。そこからがスタートなのです。
カラダに染み込ませるために、同じことを何度も何度も練習すること。
繰り返しの練習は、新しい能力を手に入れるためには絶対に必要なことです。
子どもがまだ小さかった頃、子どもたちは、どうやって平仮名や漢字を覚えたでしょう?
算数の計算や九九は、どうやってマスターしてきたことでしょう?
一度話を聞いただけで、「理解できた」のみならず、「出来るようになる」ということはありません。
まず、ひと通り理解したのちに、繰り返して練習するのです。
ひたすら繰り返すのです。
新しい能力を身につけるためには、それしかありません。
反復練習は、力をつける為には必須のことだからです。
「忘却曲線」の話を聞いたことはありますか?
ある心理学者が唱えたもので、
人間の脳は、新しい事を覚えても
・20分後には42%を忘却
・1時間後には56%を忘却
・1日後には74%を忘却
・1週間後(7日間後)には77%を忘却
・1ヶ月後(30日間後)には79%を忘却
こんな風に、新しいことを理解して覚えたつもりでも、
寝て起きたら、7割以上は忘れているのです。
だから、折角きょう、このメールを読んで頂いても、
メールの内容も、明日の朝にはほとんど忘れてしまっていることでしょうね。
このメールのことなんて、どうでもいいことだとは思いますが、
せっかく学習して分かったつもりになった内容なのに、寝て起きたら殆ど忘れていた、、
それじゃ、困りますよね。
忘却を防いで、真の理解と記憶にするために必要となることが「反復練習」なのです。
何度も何度も繰り返して、同じ事を何度も反復することで
何とこさ、その知識が定着していくのです。
何度も何度も同じことを繰り返して練習することで、
子どもたちの脳と体にも、能力が定着するわけです。
ピアノのテキストを読んで、引き方を理解したら、
もう直ぐにピアノの熟練者になった。そんな人は世界中に誰も居ないのです。
学習塾にいったり、学習教材を買ったり、家庭教師を付けた場合もそう。
そんな学習環境を作っただけで、もうすべてが大丈夫。頭がよくなる。、
そんなことはないのです。
学習環境を手に入れたという満足感を、達成感と混同してはいけません。
ベートーベンが使っていたピアノを手に入れたからと言って、こどもがベートーベンになるわけではないのです。
親の責務として、学習環境をまずは作ってあげること。
そして、温かい目で、子どもが反復練習するように見守ってあげること。
そこまでやって親の責務が果たせるのですね。
何度も何度も
繰り返して、繰り返しす。それを実践させることです。