ASD(自閉症スペクトラム症候群)といわれる発達障害の子どもは、子供によって持つ知能の幅がとても広いです。
知的障害を併発している場合もあるため、中学生でも「幼稚園児レベル」の知能の子どももいますし、知的な問題がない場合は中学生なのに「東大生レベル」の知能を持つ子どももいます。
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ASD(自閉症スペクトラム症候群)の子供は天才肌?!
知的問題がない場合は、サヴァン症候群というある分野に突出した才能がある可能性があります。そのある分野というのが勉強ということです。
もちろん、サヴァン症候群がなくても勉強ができるという子どももいます。
しかし、それは全部の科目が得意というよりも、
「漢字を見ただけで覚えてしまう」
「フラッシュ暗算が得意」
「世界の国名と国旗が全部一致する」
などのかなり限られた特定分野が得意ということです。
そのため、万遍なく何でも勉強が得意という子どもは少ないです。
しかし、彼らには彼らならではの得意な分野がたくさんあります。得意分野の能力を活かせば成績を上げることも不可能ではありません。
ASDの子供の特徴(勉強につまづきがちな理由と対処法)
ASDの子どもが学習で躓く原因として、根本にあるのは「知的の遅れ」です。
知的の遅れがない場合は、普段の学習方法が誤っている可能性があります。大まかにまとめると、
①聞く<見るが得意なので授業を聞くだけでは分からない
ASDは視覚優位と言われています。耳で聞いて覚えるよりも、目で見て記憶する方が得意です。
そのため、電車の車両を見ただけで何時のダイヤを走るものかが分かったり、一瞬見ただけでその場面を絵に描けたりできるのです。
貼り絵で有名な「山下清」も自閉症と言われており、彼もまた目で見た風景を学園に戻った時に貼り絵として残しています。
学校の授業は先生の説明が多くて、耳で聞かなければいけない時間がほとんどです。
ASDの子供は耳で聞いて理解することが苦手なので、必然的に授業内容は頭に入ってきません。
それよりも、絵と短文で示した説明を読ませることで解決します。
長文問題も苦手です。端的に書いてあるものと、できれば図解してあるものを併せて用意すると内容が頭に入りやすくなります。
②具体性がないと伝わらないのでノートがとれない
ASDの特徴として、抽象的に話すと伝わらないというものがあります。
例えば、健常者であれば「ちょっと待ってて」と言われれば、少しの間待つことができます。
しかし、ASDの彼らからすると「ちょっと待ってて」というのは何分くらいのことを指しているのか分からないのです。
「何分?何秒?どのくらい数えていればいいの?」
とパニックになってしまいます。
授業の中でも「たくさん書いてください」「いっぱい練習しよう」などと、先生が抽象表現をした場合、ASDの子供は「たくさんってどれくらい?」と分からなくなってしまいがちです。
先生には具体的な指示を出してもらうように相談しましょう。
「ちょっと時間をあげるから」ではなく「3分あげるから」、
「たくさん練習しよう」ではなく「ノート1ページ分練習しよう」、
言い方を変えればASDの子どもにも内容が伝わりますし、具体的な学習行動に移すことができます。
③こだわりに反してしまうため集中ができない
誰しもこだわりというものは持っています。例えば、
「シャーペンの芯は0.3の細いものがいい」
「ノートは罫線よりも白紙のほうが自由に書けるから好き」
など、人それぞれだと思います。
通常の子どもであれば、自分の好みのシャーペンやノートが手元になくても、「いつもの感じじゃない……」と思いながらも、代用物の使用で我慢できるかと思います。
しかし、ASDはこだわりも強いです。酷い子供の場合はかんしゃくを起こしかねません。
例えかんしゃくを起こさなくとも、いつもと違うものに気を取られてしまい、集中できなくなります。
そうなると「授業どころではなくなってしまう」ことは目に見えますよね。
なるべく拘りの強いことについては、支障が生じないように親が確認をしてあげることが大事です。
④周りの音に反応してしまい集中できない
「視覚優位」のASDは、聴覚過敏な場合が多いです。
街中で明らかに音楽用ではなさそうなヘッドホンをつけている人を見たことはありませんか?
彼らは聴覚過敏のため、聞こえる音量を制限しているのです。
聴覚過敏の彼らの耳に入る休み時間の教室音量は、たくさんの電車が通る高架下と同じようなものだそうです。
授業中であってもひそひそ話や先生の怒鳴り声などで聴覚が疲弊してしまいます。
耳栓やヘッドホンをして音量を調整したり、衝立を使って防音をしたり、工夫することができます。
学校側と相談して、聴覚過敏の子供の音の刺激を少なくしてあげることが大事です。
ASDの人どんな仕事が向いているのか?
ASDの人は昔こそ、低賃金で内職のようなことをしていました。
しかし今では「障害者雇用促進法」があるため、積極的に障害者を雇用してくれる企業が多いです。
もちろん、ASDの方を誰でも受け入れてくれるわけではありませんし、会社でも「対応できること」と「対応できないこと」があります。
それでも昔よりは職業の幅が広がっています。
ASDの人の特徴としては、
- 突然の変化に対応できずパニックになる
- 他者とのコミュニケーションが苦手
- 大きな音が苦手
という点が挙げられます。そのため、
- マニュアル通りにできる仕事(=イレギュラーが少ない仕事)
- コミュニケーションをとらない仕事
- 静かなところでできる仕事
が向いていると思われます。それらをクリアしているのが以下の仕事です。
①事務職
事務の仕事は、やることが全部形式的に決まっています。そのため、マニュアル化することができ、ASDの人には嬉しい職業と言えます。
コミュニケーションも書類のやり取りで最小限ですし、工事現場のような大きな音もないため、静かに集中して行うことができます。
実際のところ、ASDの人が企業就職した場合、多くの人は事務の仕事についているそうです。
デスクも固定で小さな衝立などを立てることもできるため、より自分の世界に入り込むことができます。
②専門職
ASDの人は何か好きなことがあったらとことん突き詰めていく傾向にあります。
プログラミングや機械の基盤作りなど、より自分の世界に没頭しながらできる仕事が専門職や技術職です。
1度覚えると間違えることもないくらい正確にやり遂げられるのも、この職業に必要なことです。
幼少期からプログラミングなど大人顔負けの専門分野に長けている人は、もちろん健常者である人もいますが、ASDなんじゃないかと言われている人が多いです。
普通であれば途中で挫折してしまうような専門分野をとことん追求できるのもASDのいい所です。
ASDの子供が勉強ができるようになる3つの方法(親がしてあげられること)
ASDの子どもが勉強できるようになるためには、学習教材を揃えることよりも、学習環境を整えることが大切になってきます。
健常者であれば「自分がどうしたら勉強しやすいか?」を考えて、片付けや場所のセッティングができます。
しかし、ASDをはじめとして、発達障害のある子どもは「どうしたらやりやすいか?」を考えることができません。
子供の「できないこと」「できること」をよ〜く聞きながら、親が方向付けしてあげることが大事です。その中でも気をつけるポイントがいくつかあります。
ポイント① 静かな学習環境
前述の通り、ASDは聴覚過敏なところがあります。
「ヘッドホンをつけて勉強する」こともありですが、子供が勉強している時間は、家族としては家事やテレビなどの音がでる行為を控えるようにしてあげることです。
他の部屋のテレビ音などは、通常の人は気にならないかもしれません。
しかし、ASDの彼らからしたら、かなり不快な騒音になっているかもしれません。集中させるためにも、できるだけ静かにしましょう。
ポイント② 好きなキャラクターや色の文房具を揃える
ASDの子供はこだわりが強いです。
1度そのキャラクターや色が好きになったら大人になっても、ず〜っと好きでいます。
実際のところ、私の弟もASDですが、弟は幼い頃にハマった「ウルトラマン」や「ガンダム」を今でも好きで、まるでマニアのように集めています。
私たちも好きなキャラクターやアイドルの文房具を使っていると、勉強をやる気になったことがあると思います。
それと同じで、拘りのある物を使っていれば、勉強を頑張ろうというやる気スイッチになってくれると思います。
親としては、子どもの好きなキャラクターや色を把握して、それで勉強のやる気スイッチを入れてあげるのもいいでしょう。
ポイント③ 時間の区切りがわかりやすいようにする
ASDの子供は1度行動を始めると、いつまで続けたら良いか分からず、ずっと作業を続けてしまいがちです。
通常の子どもは、適度に休憩を入れたり、次のページが終わったらゲームをする、など区切りをつけられます。
しかし、ASDの子どもは自己コントロールすることは難しいことです。
時計で「◯分までドリルをやります」などと、こちら側から適切に指示をしてあげましょう。
時計が読めないのであれば、Amazonなどで買える「タイムタイマー」という残り時間が赤のフィルムでどんどん減っていく学習支援グッズがあるので、それを利用してもいいです。
もちろんキッチンタイマーで「音が鳴ったら終わりにします」と伝えてもいいです。
時間の区切りを分かるようにしてあげてください。
ASDの子供が家庭学習する際に気をつけることは?
ASDの子どもが家庭学習をする時、自分で意識して気をつけられることも幾つかあります。
「意識する」というよりも習慣づけるという表現が正しいです。
学習習慣付けも、ASDの子供が自発的にすることは難しいので、親が一緒に学習習慣が身につくようにしてあげましょう。
学習習慣づけ① 同じ場所で勉強すること
ASDの子供が家庭学習するときに、
今日はリビングで
今日は自分の部屋で
今日はトイレで
というように毎日違う場所で勉強させることは辞めましょう。
なるべくならリビング学習を推奨しますが、何れにしても「ここは勉強する部屋」と覚えさせることが大切です。
例えば、リビングを勉強する部屋と学習習慣づければ、学校から帰ってきてリビングに向かった時に「リビングは勉強する部屋です、勉強します」と自分から勉強するようになります。
毎日違う場所での勉強だと学習習慣がつきにくいです。
ちなみに、リビング学習を推奨する理由としては、親の目が届きやすく躓いている様子などに気づきやすいことが挙げられます。
リビングの隅に衝立を立てるなどして、狭くて静かな学習空間を作ることも可能です。
学習習慣づけ② 勉強終わったら親に見せる
親にその日の勉強内容を報告するという学習習慣も、身につけさせるようにしましょう。
発達障害の子どもは自己肯定感が低い傾向にあります。ASDの子供もそうです。
学校ではみんなとちょっと違うことでからかわれたり、出来ないことを無理やりやらされたりして嫌な気持ちになりがちです。
家庭では自己肯定感の低さをなくすために、親に褒めてもらう瞬間を作ってあげてください。
親が褒めることで自己肯定感は上がっていきます。
褒めてもらうに、自分で宿題を親に見せに行く学習習慣をつけましょう。
学習習慣づけ③ 頑張りの記録をつける
私自身が特別支援学校の教員をやっていたのでその経験もありますが、ASDの子どもは「誰から見ても分かるがんばり」というものがあると嬉しいようです。
親に褒めてもらうのももちろんそうなのですが、あくまでもそれは口頭での話です。
客観的にも、後で自分で勉強した記録を見返してみて「ぼくは頑張ったんだ」となるものがあるともっといいのではないかと思います。
そのひとつが頑張り記録です。
例えば、「ドリル1ページ」ごとにシール1枚をExcelなどで作った簡単な枠に貼り続けていき、全部貯まったら好きなものを買ってもらうという方法も考えられます。
私の教え子たちはこのシールがほしくて学習課題をとても頑張っていました。
もちろん、口頭で褒めた上での話です。シールは100円ショップなどで買えますし、Excelが難しかったらマス目のノートなどで代用もできます。
ぜひやってみてください。
ASDの子供が家庭学習教材を選ぶ時に気をつけることは?
ASDの子どもは長い文章を読むことが苦手です。
文章から想像して答えを導くということが苦手のようです。
そのため、長い文章ではない教材を、また長い時間必要としない学習教材が合っていると予測できます。
それをヒントに、彼らに合う家庭学習教材を選ぶポイントは以下の通りです。
①設問が短文
長々と設問が書いてあると、ASDの子供は何を聞かれているのか分からなくなってしまいます。
なので、なるべく短文で終わっているテキストを選びましょう。ASDの子どもには指示を「端的に・分かりやすく」伝えることが有効と言われています。
そのため、教材の設問や説明文が短文であれば内容が伝わりやすく、解答しやすいです。
長文読解の力をつけるのであれば、中学生でも小学校低学年レベルまで下げて少しずつ解かせるといいでしょう。焦らず、できるようになるまでゆっくりやりましょう。
②イラストで解説
ASDは文よりも図解されているとより理解が早まり深まります。
もちろんイラストだけの教材はありませんから、①の短文で説明・設問のあるテキストというものと併せて探してみてください。
今は教材の種類がたくさんあり、イラストで解説してくれているテキストもたくさんあります。
中には人気キャラクターが登場するテキストもありますので、好きなキャラクターがあればそちらを採用してもいいでしょう。
③数ページある教材よりドリルを
ひとつの単元に数ページ使う学習教材があります。
もちろんその学習教材を解くのもいいのですが、長い問題だと時間の区切りがつかなくなります。
そのため、家庭学習では「一問一答」や「繰り返しドリル」のような1回1ページで終わる教材を選ぶことです。
長い時間をかけて長いページ数をこなす勉強は、学校でも充分やっているはずです。
家庭ではイラストもあって、設問や説明が短文であるドリル等を使うと本人の中でメリハリがついて学習しやすくなります。
また、学習したページ数を重ねやすいので、前述の頑張りの記録もつけやすいです。
ASDの子供には、学習教材「すらら」がオススメ
インターネット教育教材で「すらら」というものがあります。
学校教材と連動しているし、万が一不登校であっても「すらら」で勉強していれば中学校を出席扱いにもしてもらえることもあります。
実際に、「すらら」で勉強しているASDの子供は、内申点も良いそうです。
それ以外にもおすすめするポイントがあります。
①アニメーション授業で楽しい
「すらら」はアニメーション教材を取り入れています。
文字よりイラスト、イラストより動画の学習形態は、ASDにとってはありがたいものです。
声優さんが声を当ててくれているので、まるでアニメを見ているかのような楽しさがあります。
イラスト学習も理解しやすいのですが、イラストから自分の中で想像をしなければいけません。
想像することが苦手なASDの彼らには、アニメーションが一番伝わりやすいコンテンツです。
文字も極力少なく作られているので、文字から考えることもありません。
②講師とマンツーマン授業だから自分のペースで
すららは講師と対話型のマンツーマン授業を採っています。
そのため、分からないところがあったらすぐ聞くことができ、躓いている様子が伝われば先生にサポートしてもらえます。
おそらくASDの子供は、学校授業ではわからない部分があっても質問できず、分からずじまいになっていたと思います。
30人近く居る普通学級でもそうですし、少人数学級に値する特別支援学級においても、先生1人が数人の生徒を見ますので、より深いところまで掘り下げて質疑することは難しいです。
「すらら」は自分だけのペースで学習できるので、分からないところを分かるまで聞くことができます。
③学年の壁がないので、自分のレベルで学習できる
「すらら」は無学年学習というシステムを採用しています。
現在小学生6年生で「小数点の割り算」問題ができないとします。
通常の先生は、生徒が分かるまで同じレベルの問題を噛み砕いて説明します。しかし、その方法だと子供の理解は進みません。
「すらら」は、子供がどこで躓いているのか?ということを確認するために、下の学年まで遡り学習をします。
子供によって小学3年生の割り算で躓いている場合もありますし、小学2年生の掛け算からやり直す場合もあります。
人それぞれ、つまづきのポイントが違いますが、わからないポイントを徹底的に潰して理解できるようにサポートしてくれます。
遡り学習も大勢いる教室ではできないことです。
自分のレベルに合った内容を学習できるため、躓きもなく成績を上げることができます。
だから「すらら」で勉強することを、私はオススメしています。
\簡単に資料請求!/
家庭教師探しは大変ですが、資料請求することで子供に合う先生を探し出すことができます。
この機会に資料請求しておきましょう。